1.Jayceeの参加意識

 JCの参加意識は大きく分けると二つのパターンに分けられる。それは「他動的参
加」と「自発的参加」である。会員は他人から引張られて行動するのではなく、JC
と自分とのかかわり合いについて真剣に考え、明確な目的意識をつまり、「自分はJ
Cにおいてなにをなすべきか」という考えを明確にもつべきである。そうしないとJ
C運動は決して自分のものとはならず、常に自分とは関係のない所を通過して行って
しまう。

 ここに一つの例がある。それは’72年度アメリカJCのロナルド・アウ会頭の例
である。

 彼がJCに入会したとき、彼はJCにはあまり大きな魅力は感じていなかった。彼
は人に誘われて参加し、仕事が忙しいために適当にやろうという意識を持つ一種のス
リーピング・メンバーであった。

 ある年彼は、その次年度のプログラムについて相談をうけた。そのために彼はその
プログラムに興味をもち、いろいろと自分の意見を加えてゆくうちに魅力を感ずるよ
うに変わっていった。そしてそのプログラムに3年間強い魅力を持って参加するうち
にサブディレクターとなった。

 このとき彼は次のことに気がついたと言っている。

 それは「自分は仕事が忙しくて出られないという意識から脱却し、自分からプログ
ラムに興味をもたなくては参加しない」ということである。つまり、「プログラムが
良くなくては会員は参加しないし、会員が興味を持たなくてはよいプログラムは出来
ない」と言うことである。

 ついで彼は自分のLOMだけでなく他のLOMにもそのプログラムをすすめること
により多くの時間をとりたいと思うようになり、その活動の中でLOMの理事長を
やってみたいと思うようになった。

 自ら求めたLOMの理事長に続いて、さらにハワイ州の副会頭となり、‘71年に
は全米大会において36時間23回の投票の結果、U・S・Jaycees(国家青
年会議所)の会頭となるクライマックスを迎えたのである。

 この彼の意識が変化してゆくプロセスの中でもっとも大切なことは、「自ら進んで
運動に参加する」という運動への参加意識賀ないと、何も達成できないということで
ある。

 もし、自分に主体性のないプログラムを行ったとして、はたしてそれで楽しみがあ
ろうか。本当に楽しいこととは、自分自信が自らの意識と主体性を持って参加するこ
とである。

 他動的な考え方でJC運動に参加しても、たとえばそれが10年間という長い期間
の参加であっても、他動的力によって動かされているセールスマンが「その日その日
を何の進歩も研究もなく、10年間セールスをして自分は10年のキャリアがある」
と言って経験年数を誇る以外に他人に誇示できないのと同じである。自己の意識の積
極性が見られないJCで、JC歴を前にかざすとしても、それはJC運動にとって意
味をもたないものである。

 つねにわれわれが考えなければならないことは「自分とJCとのかかわり合い」で
あり、「自分はJC運動の中で何を目標に参加するか」という参加と目標意識であ
る。

 また運動の中で悩みをもつとき、それを解消するのは自分が自分で解消するのであ
る。これが、自らすすんでの参加ということである。

 会員は一人びとりが常に「自分はJCの中の何年間で何をしよう」という目標意
識を明確にもって、自らの運動に挑戦しなければならない。たとえば、人間的成長で
も、友人をつくることでも、地域の開発でも、何でもよいのである。

 そしてもっとも大切なことは、自分の求める目標にプライオリティ(優先順位)を
つけて、ひとつひとつ達成してゆくことである。

 ゴルフやマージャンなどのみの付き合いを続けていても何もでてこない。必要なこ
とは常に何を考え、どういう人生を送ろうとしているかということである。

 JCは常に「否定と創造」ということを考えて生活すべきであり、これは経営にお
いても同じことである。

 例会や大会などいろいろの集いを見ていると、JCほど残念な参加の仕方をすると
ころはないと思う。心構え、時間の厳守、ゲストへの態度、会議の進め方などを見て
いて、これが若い青年経営者といわれる人間の集いであろうかと思うことがある。人
間的なエチケットをもっともつべきである。たとえば、地方大会とか全国大会とか世
界会議とかを例にとって見ても、もっと知らない各地の会員と積極的に暖かい心で語
り合うべきである。

 JCにはいろいろの動機で入会する。それはどんな動機でも自由である。ただ大切
なことは入会してからまず最初に、正しい”意義あるJC運動”をしなければならな
いという動機づけである。そこで自分の習慣を打ち破ることである。

 そのJC運動とは人に引張られて他動的に行うものではない。それは自分が自分の
意志で行う自動的なものである。そしてJC運動に最も必要な力となる人は、自分の
能力を自分で高めようと言う意識の人である。

 人間にとって20〜30歳代の人生の重要な転換期を何もこれといったことを為し
遂げずにすごしてしまうことは、全く金と時間の浪費である。この時代にこそコミュ
ニティを軸とした意識で、JC運動に参加することが自己形成に役立つのである。

 スリーピング・メンバーには二種類ある。それは、(1)完全に意識の無い人と
(2)現在行われている運動に魅力の無い人である。そしてスリーピングの原因の一
端はリーダーの側にもある。つまり参加型のリーダーシップがあるかどうかいうこと
も、その大きな要素の一つである。出席率だけでスリーピング・メンバーを見てはな
らない。大切なのは、目標意識であり参加するためのプランニングであり、参加する
人それぞれがもつ心の姿勢のもち方である。

 自分が何のためにJC運動に参加しているかを知らないとJC運動は動いて来な
い。もしJCに入らないでそのまま生活しているとしたら、今の自分とどう違ってい
るかを考えてみること、本気になってJC運動に参加することによりはじめて友人を
通して街を知ることによって、友人がふえるのである。これが真に友を得ると言うこ
とである。

 個人参加の参加意識とその責任と義務を忘れていすぎる傾向が、現在のJC運動の
中で強い。


LOM=各地のひとつの青年会議所

> 
目次1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・
11・12・13・14・15・16・17・18・19・20・
21・22・23・24・25・26・27・28・29・30・
31・32・33・34・35・36・37・38・39・40・
41・42・43・44・45・46・47・48・49・50・
51・52・index